注文住宅の固定資産税はいくらになる?抑えるコツも解説
注文住宅を建てた際に気になるのが固定資産税です。税額は住宅の評価額にもとづいて決まりますが、家の構造や工夫次第で抑えることも可能です。本記事では、固定資産税の計算方法や相場、税額を抑えるためのポイントを分かりやすく解説します。ランニングコストを少しでも節約したい方は、ぜひ参考にしてください。
固定資産税の基礎知識
固定資産税は、土地や建物などの固定資産を所有している人に課される地方税のひとつです。この税金は、物件を購入した後、所有者が自治体に対して納める義務があります。そのため、不動産を購入した際には、固定資産税についても理解しておくことが重要です。
納税義務が発生するタイミング
固定資産税を支払う義務があるのは、その年の1月1日時点で物件を所有している人です。1月2日以降に物件を購入した場合、その年の固定資産税は不要で、翌年からの支払い義務が発生します。
一方で、1月2日以降に物件を手放しても、その年分の税金は全額支払う必要があります。ただし、不動産の売買契約では、納税額を日割りで計算し、買主が売主に税金の一部を清算するのが一般的です。取引に関する詳細は契約時に不動産会社に確認するようにしましょう。
納税のスケジュールと方法
固定資産税は、自治体ごとに納付期限が異なりますが、多くの場合、6月・9月・12月・2月の年4回に分けて支払う方式が採用されています。一括払いも可能ですが、割引などの特典はありません。自治体によってはクレジットカードや電子マネー決済に対応しており、ポイントを貯めることも可能です。
毎年4~6月頃に自治体から納税通知書が郵送され、そのなかに振込用紙が同封されています。納税通知書には、税額や算定基準となった評価額が記載されているため、内容を確認したうえで期限内に支払いを済ませましょう。
支払い遅延のリスク
固定資産税の支払いが遅れると、最大で年14.6%の延滞金が発生する場合があります。また、自治体から催告書が届き、それにも対応しない場合、物件や給与の差し押さえなどの法的措置が取られることがあります。万が一支払いが難しい状況になった場合は、早急に自治体の窓口で相談しましょう。
振込用紙を紛失した場合は、自治体の税務課で再発行を依頼してください。納税通知書の再発行はできませんが、土地家屋名寄台帳の写しを取得することで代替情報を得ることができます。
固定資産税の計算方法は?
固定資産税は、土地や建物に対して課される税金で、その計算にはいくつかの手順があります。税額は固定資産税評価額をもとに算出され、土地と建物それぞれについて計算されます。
固定資産税の基本の計算方法
土地の固定資産税も建物の固定資産税も納税額は固定資産税評価額×税率(市区町村ごとに異なるが標準は1.4%)で算出されます。固定資産税評価額は、自治体が決定するもので、地価や建物の状態などをもとに計算されます。
ちなみに、新築住宅や居住用物件の場合には一定の条件を満たすことで軽減措置を受けられることがあります。
土地の固定資産税の計算
土地の評価額は、売買価格の70%程度、または固定資産税路線価に土地面積を掛けることで概算できます。正確な評価額を確認したい場合は、自治体が郵送する納税通知書や固定資産税評価証明書を利用しましょう。
また、固定資産税評価額に軽減措置を適用したものが課税標準額です。住宅用地では、200㎡までの部分が6分の1になる特例があります。たとえば、評価額4,000万円の土地で200㎡の場合、課税標準額は約660万円です。課税標準額が660万円の場合、年間固定資産税額は660万円×1.4%=9万2,400円となります。
建物の固定資産税
新築建物の場合、建築費の60~70%程度が評価額の目安です。たとえば、建築費が2,000万円の注文住宅では、評価額は1,200~1,400万円になります。
長期優良住宅の場合、固定資産税が最初の5年間、2分の1に軽減されるといった軽減措置を受けられる場合があります。建物の税率も1.4%が一般的です。評価額1,200万円の建物の場合、固定資産税は1,200万円×1.4%=16万8,000円になります。
注文住宅の固定資産税を抑えるポイント
注文住宅を建てる際、理想の住まいを実現することと同時に、ランニングコストである固定資産税を抑える工夫も重要です。固定資産税を抑えるためには、家づくりの段階で以下のポイントを意識しましょう。
シンプルな間取りにする
複雑な間取りや凹凸の多いデザインは施工面積が増えるため、固定資産税が高くなる傾向があります。シンプルな四角形の間取りや部屋数を減らした大空間設計がおすすめです。同じ床面積でも、部屋数を減らすことでコストを抑えることができます。
ただし、住み心地や利便性を犠牲にしないよう、専門家と相談しながらバランスをとることが大切です。
シンプルな屋根の形状にする
勾配が大きい屋根や銅板、ソーラーパネルなどを使用した屋根は税金が高くなりやすいため、シンプルなデザインや材質を選ぶのが得策です。ただし、固定資産税の安さだけを重視するのではなく、メンテナンス費用や耐久性も考慮することが重要です。
屋根の材質や形状は、長期的なコストバランスを見据えた選択をしましょう。
コストがかかりにくい外壁材を選ぶ
注文住宅では外壁材を自由に選べますが、高級素材を多用すると建築費が上がり、その分固定資産税も高くなります。比較的安価な外壁材を採用し、窓や扉の数を必要最低限にすることでコスト削減が可能です。
ただし、安価な素材はメンテナンス費用が高くつく場合もあるため、長期的な維持費用も考慮して選びましょう。
必要以上に豪華な設備にしない
豪華な設備や高級な内装は快適性を向上させますが、固定資産税額も増加します。すべての設備を高グレードにするのではなく、日常的に使用頻度が高い部分に限定して豪華な仕様を選ぶのがおすすめです。
適切なコスト管理で、税金と快適さのバランスをとることができます。
まとめ
固定資産税は、物件を所有している限り継続して発生する税金です。そのため、物件購入時には税金の仕組みや支払いスケジュールを理解し、計画的に対応することが重要です。期限内に支払いを行い、延滞やトラブルを避けるよう心掛けましょう。また、工夫をすれば固定資産税を抑えつつ、理想の注文住宅を実現することも可能です。建築プランを検討する際には、税金や維持費用についても専門家に相談しながら進めると、より満足度の高い住まいを手に入れることができるでしょう。
